ACTIVITIES REPORT
たまがわ

早稲田大学大泉ゼミ:子どもが自分で“遊ぶ”を見つける「アートツールキャラバン」@たまがわLOOP!
11月9日日曜日。早稲田大学造形教育ゼミ・大泉義一教授による「アートツールキャラバン」がたまがわLOOPで開催されました。
大泉ゼミの現役ゼミ生10人に、卒業生他手伝いをしてくださる方7名。参加した子どもたち(小学生)は、午前午後ともに16名。子どもたちはLOOPに到着したとたん、すぐさま“遊び”を始めてしまいます。

それもそのはず、LOOP会場には、色紙がぎっしり詰まったボックス、たくさんの鉄棒・ネジやボルトの集まり、色とりどりのボールが収まったボード、なにやら磁石がしかけてあるらしいボード板、いろいろな形の黒くてちょっと厚い紙片、スクリーンに投影すると綺麗な画像になる色セロハン、丸い色板を棒にさして坂道を転がすと‥‥。計10種類のさまざまな“もの”が用意されていましたので、当然、目はあちらこちらへ。


まず、大泉先生が“今日の趣旨”を簡単にお話ししてくださいました。「お父さん、お母さんは終了10分前になるまでどこかで自由にお過ごしください」。
子どもたちが親の目を意識することなく、自由に“自分の好き”で遊びを見つけ、夢中になって遊ぶ。その間、親は“余暇を楽しんで”過ごす。そして、後で、子どもたちは親へ何をしたか、どうだったか、何が楽しかったかを話し、親は子どもたちからどんなことをしてどんなふうに楽しかったかを聞き、会話する。「それが、狙いのひとつでもあるのです」と、大泉先生はおっしゃいます。

ひとりの子は、目をつけた場所へまっすぐ向かい、すぐに“もの”を手にして遊び始めます。どんなふうに遊ぶのか、どう楽しむのかも子どもたちが見つけます。そばに付いているゼミ生は訊かれたらアドバイス。
別の子は目移りしているのか、どこへ行ったらいいのか選べないのか、ひとりぽつんと立ち尽くしていました。そんな子のところへはすかさず、しかし、さりげなく、ゼミ生が行ってひとつの遊び場に誘います。ゼミ生は、アートツールのファシリテーター。自由な遊びの案内人です。
それにしても、子どもたちはどんどん遊びを見つけます。
色紙をつなげてタワーを作ったり、ネジやボルトを組み合わせてとても頑丈そうなまるで“怪獣”を作ったり、車輪のような形状にしたものを坂から転がすことをひたすら繰り返したり、ずっと同じ遊びに夢中になって取り組んでいる子もいれば、ちょっとやってみてすぐに飽きて他のところに移っていく子もいます。ちょっと移り気なそんな子も、なにがどう作用するのか、“お気に入り”を見つけると突然“集中!”が始まります。大きなモビールでは、ひとりの子が片方に何かをつけると傾いてしまい、他方に何かを付けなくては平均が保てません。そこでは、自然と“共同作業”が生まれました。


まったく知らなかった子ども同士が同じツールを使うことでまるで前からよく知っている友だち同士のように会話しながら相談しながら取り組みます。
遊んでいる子どもたちの目は好奇心に満ちていて、文字通り、キラキラ。夢中になるということは子どもたちを心から幸せにし、身体中の機能をいつのまにか高揚させるものなのだと痛感する時間でした。
このアートツールキャラバンで使ったツールのほとんどは以前、大泉先生が横浜国立大学に在籍されたときに開発されたものなのだとか。子どもたちが五感を働かせて遊ぶことから能動的で協働的な表現活動を生み出す〈あそび場〉、それがこの「アートツール」。
今回は、そんな15年の実績あるツールにまた新しいツールが加わっていました。
テーマは、「匂い」「香り」。
子どもたちは蓋付きコップに込められた匂いを嗅いで、どんな匂いか、何の匂いに似ているかを考えます。自分が想像した匂いは何色? どんな形をしている? 感じたこと、思ったことを自由に表現してみよう。さまざまな色のマーカーやシールなどを使って、コップを彩っていきました。
もちろん、どんどん描き進める子もいれば、なかなか手が進まない子もいます。正解はありません。自分が思ったように、やりたいように、やる。それだけ。
できあがったら、みんな集まって、他の子との情報交換や意見交換タイムを行いました。そして、ファシリテーターのゼミ生から“正解”を教えてもらいました。なんとなんと、子どもたちのコップのなかの匂いは家のなかによくある見慣れた“あれ”“これ”〜たとえば抹茶、たとえば入浴剤、たとえば海苔、たとえば味噌、たとえば‥と種明かし。「やった〜!」という子もいれば、がっかりする子もいました。にぎやかで素直な反応は、見ているこちらが楽しくなります。

先生は、AIが深化していくこれからは想像力や感性がますます重要になってくるとおっしゃいます。「アート教育」とは単に芸術作品を鑑賞することではなく、子どもたちが自分で興味を持って次を生み出していく、その力の場を用意すること。
「アートツールキャラバン」はまさにそんな「場」です。
「たまがわLOOP」という玉川髙島屋S.C.内の施設での今回の開催について、大泉先生は、教育施設でない良さ、安全安心への配慮、適度な空間規模、「シナプスが生まれる場所としてとても良いと思います」。先生のお言葉に力を得て、またの開催、そして、さらにたくさんの子どもたちの参加を誘いたいと決意を新たにして、今回は終了となりました。
みんな、またね〜!