ACTIVITIES REPORT
たまがわ

世田谷美術館の人気講座「葉っぱを描く」が、たまがわLOOPにやってきた!1
世田谷美術館は、緑あふれる砧公園の一角にある美術館。四季折々の変化が美しい恵まれた自然環境のなか、“日常生活と芸術をつなぐ場”として、さまざまなプログラムを開催しています。そんな世田谷美術館の活動のなかでも、ユニークな「美術大学」というプログラムのこと、みなさんご存じでしたか?
「美術大学」とは、講義、実技、鑑賞、と3つの方向から広く総合的に取り組み、アートの本質を見つめる半年間の連続講座。専門的な知識や技術を身につけるよりも、本質を見つめ直し、アートをより身近に感じ、楽しみ、自分自身の眼で発見し、捉えることが目的。なかでも大人気の「葉っぱを描く」講座が、今回、たまがわLOOPに出張開催してくださいました。
講師を務めるのは、群馬直美さん。「葉画家(ようがか)」です。大学在学中に、新緑の美しさ、葉っぱの生命力に深く癒された経験から“葉っぱ”をテーマとする創作活動に入り、緻密な描写のできるテンペラ画と出会い現在の作風に至ったのだとか。
屋上庭園で葉っぱを探す。
「この世の中のひとつひとつのものは、すべて同じ価値があり、光り輝く存在である」。
それが信条の群馬さんと一緒に、本館R階の屋上庭園で、“描きたい葉っぱ”を探すことからアクティビティは始まりました。

「葉脈がはっきりしている葉っぱを選びましょう。虫喰いも愛おしいし、枯れかかった葉っぱも美しい。“これを描きたい!”と思う葉っぱを見つけて採集してください。ただし、2枚だけですよ」。群馬さんからのそんな声で採集がスタートしました。

採集が終わったら、たまがわLOOPに戻って、いよいよ「葉っぱを描く」実習が始まります。
「葉っぱ」を見つめ、確認して、「自分の葉っぱ」に仕上げていく。
まず、群馬さんが制作の流れを説明。新聞紙を切って折りたたんで、バレンを作ります。それができたら、葉っぱに好きな色のスタンプで色をつけ、紙に転写します。葉脈をきれに転写することが重要。ちょっと息を呑んで集中して作業します。うまく転写できたら、輪郭や葉脈をシャープペンシルで補強して、さあ、ここからが最も大切な「葉っぱを描く」作業の醍醐味。さまざまな色鉛筆で葉脈の一本一本を丁寧になぞっていく作業は、まるで紙の上に葉っぱの命を再生しているかのようでした。
「葉脈は葉っぱ全体に水分や栄養分を運んでいる大切な道。よおく見て、丁寧になぞって仕上げてください」。



群馬さんはひとりひとりのテーブルを回って、アドバイスし、時に一緒に作業をして、参加者14人の葉っぱが完成していく過程を伴走していました。そして、作業すること、2時間半。みなさんの「葉っぱ」が完成しました。用意していただいたフレームに入れると、立派な「葉っぱ」のできあがり。選ぶ葉っぱも違えば、描く色も描き方も人それぞれ。ずらっと並べると、それはそれは見事な「葉っぱ」ストリートができあがりました。

次は、“野菜を描く”?
群馬さんは、下仁田ネギの一生を描いたテンペラ画で英国王立園芸協会の「ボタニカルアート&フォトグラフィー展」で最優秀賞を受賞されていますし、近々、野菜をテーマにした新著も発刊予定だそうです。
次回は、「野菜を描くというのもいいですね‥」と、今回アシスタントを務めてくださった世田谷美術館学芸員の東谷千恵子さん。参加者からも「またぜひ開催してください!」の声があがっていました。
物事をしっかり見る。「見る力」の大切さをしみじみ思う、今回のアクティビティでした。